この記事ではスクラッチ開発について解説していきます。この記事を読むことで開発手法に悩まれてる方は自社にスクラッチ開発が適しているか判断ができるようになります。ぜひスクラッチ開発について理解を深めて、自社にとっての適切な判断の材料としてください。
1.スクラッチ開発とは
スクラッチ開発とは、既存のソフトウェアやテンプレートを利用せず、ゼロからシステムやアプリケーションを開発する手法です。この手法は、企業の特定の要件に完全に合致するカスタムソリューションを提供することが可能で、柔軟性と拡張性に優れています。スクラッチ開発を選択することで、独自性の高い製品やサービスを市場に投入することができます。
逆に既存のシステムを活用し、それを自社に合わせてカスタマイズすることをパッケージ開発と呼びます。ノーコードでカスタマイズができるメリットがある一方で、既存のシステムの枠組みの中でしか活用ができないため、機能が不十分である場合があります。
また大規模なシステムの場合は一部をスクラッチ開発、また別の一部をパッケージ開発とすることで、両者のメリットを併せ持ったシステム作りも可能になります。
2.スクラッチ開発の手順
まず システム開発の手法には「アジャイル開発」と「ウォーターフォール開発」2種類があります。 一般的にスクラッチでの開発では、アジャイル開発が適していると言われています。
2-1.ウォーターフォール開発で行った場合
- 要件定義: まず、ビジネス要件を詳細に定義し、どのような機能や仕様が必要かを明確にします。
- 設計: 次に、システム全体の設計を行います。データベース設計、UI/UX設計、アーキテクチャ設計などが含まれます。
- 開発: 実際にコードを記述し、システムを構築します。フロントエンド、バックエンド、データベースなどの各要素を開発します。
- テスト: 開発が完了した後、システムの動作確認を行います。バグ修正や最適化もこの段階で行います。
- 導入と運用: 最後に、完成したシステムを本番環境に導入し、運用を開始します。定期的な保守・改善も行います。
ウォーターフォール開発では設計と設定が順に進んでいくため、手戻りがない場合はスピード感を持って進めることができます。ただしスクラッチ開発では「実際に作ってみるとイメージが違う」という場合もあり、その場合は開発後に再設計が必要となり、結果的に時間も手間もよりかかる危険性があります。
2-2.アジャイル開発で行った場合
- 要件定義とバックログ作成: プロジェクトの全体像を把握し、機能や要件をリストアップしてバックログを作成します。
- スプリント計画: 短期間(通常2〜4週間)のスプリントごとに、優先度の高いタスクを選定して計画を立てます。
- スプリント実行: 開発チームがスプリント内で選定されたタスクを実行し、機能を開発します。
- デイリースクラム: 毎日短時間のミーティングを行い、進捗状況を確認します。
- スプリントレビュー: スプリント終了後、完成した機能をステークホルダーにデモし、フィードバックを得ます。
- スプリントレトロスペクティブ: 開発プロセス全体を振り返り、改善点を見つけます。
アジャイル開発では設計と設定を何度も繰り返していくため、ウォーターフォール開発より時間がかかります。しかし都度都度の修正が可能なため、一部の機能を作成後に仕様変更をしても全体スケジュールに対する影響が小さいです。社内担当者のITリテラシーが高くない場合、 開発するシステムの規模が大きい場合にはどうしても仕様変更が発生するため、アジャイル開発が推奨されます。
3.スクラッチ開発メリット
スクラッチ開発には以下のメリットがあります。
- カスタマイズ性: 自社の特定のニーズに合わせて、完全にカスタマイズされたシステムを構築できます。
- 拡張性: システム活用後でもビジネスの成長に合わせてシステムを柔軟に拡張することが可能です。
- 独自性: 競合他社と差別化された独自のサービスや製品を提供できます。
4.スクラッチ開発デメリット
一方で、スクラッチ開発にはいくつかのデメリットも存在します。
- コスト: 開発費用が高くなる傾向があります。ゼロから開発するため、多くのリソースが必要です。
- 時間: 市場投入や社内活用までに時間がかかる場合があります。また開発が長期化することもあります。
- ナレッジ:社外に自社システムに関するナレッジはないため、自社で設計書や仕様書を正確に管理する必要があります。
5.スクラッチ開発は自社に適しているかの選定基準
下記の5つの基準の中から2つ以上 が当てはまる場合は、スクラッチ開発の検討を、4つ以上当てはまる場合はスクラッチ開発の選択を推奨いたします
5-1.独自性の必要性
競合他社との差別化を図りたい場合や、他社が提供していない新しいサービスや機能を開発する必要があるときに、スクラッチ開発が有効です。ゼロからシステムを構築することで、独自の機能やデザインを実現できます。
5-2.特殊な業務フローのシステム化
既存のパッケージソフトでは対応できない特殊な業務フローや手順を持つ企業にとって、スクラッチ開発は理想的です。これにより、業務に最適化されたシステムを構築できます。
5-3.長期的なシステムの拡張
スクラッチ開発により、自社のニーズに合わせたシステムを構築することで、事前に拡張することを想定した機能作りも可能になります。企業が独自にシステムを管理できる体制が整っている場合には将来性の高いシステムを作ることが可能です。
5-4.コストと時間に余裕がある場合
スクラッチ開発は通常、コストが高く、開発期間も長くなるため、予算や納期に余裕があるプロジェクトに向いています。特に、クオリティを重視する場合には適した選択肢です。
5-5.柔軟なシステム連携が求められる場合
他のシステムとの連携が必要な場合、スクラッチ開発により、特定の要件に応じた柔軟な設計が可能になります。これにより、既存システムとの統合がスムーズに行えます。
まとめ
以上が スクラッチ開発の手法についての説明でした。スクラッチ開発の検討する際にはまず「スクラッチ開発」と「パッケージ開発」のどちらで行うか。そして、スクラッチ開発を選んだ場合は「アジャイル開発」か「ウォーターフォール開発」どちらで進めていくかを決める必要があります。こちらの記事を参考にぜひ適切な選択をしていただければと思います。
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