ITアウトソーシングとは、自社のIT業務を外部の専門企業に委託することによって、コスト削減や効率化をさせることです。
よく聞くオフショアと異なる点は、オフショアは委託先が海外のみであるのに対して、ITアウトソーシングは国内へ委託する場合も含みます。 つまりITアウトソーシングはオフショアを包含しています。
また、SESもITアウトソーシングの1つです。実際に外部企業から エンジニアが派遣され業務を行うため、オフショアなどと比べるとコミュニケーションは円滑に取ることができます。
近年、急速なデジタル化とグローバル競争が進む中で、企業はより柔軟で迅速な対応が求められています。ITインフラの整備や DX(デジタルトランスフォーメーション)が必須となる中、限られた社内リソースでこれらに対応することは難しくなっています。また近年のIT人材や エンジニアの不足により事前に準備をしていたとしても人材が補充できない場合もあります。そこでITアウトソーシングが注目されるようになりました。
企業は様々な理由によってコスト削減のプレッシャーを受ける一方で、質の高いITサービスを維持する必要があります。ITアウトソーシングは、これらのニーズを同時に満たす手段として、多くの企業に採用されています。特に、IT部門にかかる人件費や設備投資を削減しつつ、最新の技術と専門知識を外部から効率的に取り入れられることが評価されています。
実際に、ITアウトソースの市場規模は毎年約4000万から5000万円ほど増加しており、現在かなり注目を集めております。
~コロナ禍が追い風でクラウド進撃~ITアウトソーシング市場展望 2021年度版 | デロイト トーマツ ミック経済研究所
コスト削減: 外部委託により、人件費や設備費用などを大幅に削減。
専門知識の活用: 高度な技術や専門的な知識を持つ外部企業のメンバーを活用可能。
リスク分散: IT運用リスクを分散し、安定したサービス提供が可能。
コミュニケーションの課題: 外部企業との連携不足によるコミュニケーションギャップのリスク。
業務スピードの低下: 外部企業との連携が必要なため、コミュニケーションコストが増加する可能性。
依存リスク: 外部企業に依存することで、社内に知見が貯まらず、人材の育成がされないため将来的にリスクが増大する可能性。
つまり初期段階ではITアウトソーシングによって業務を回し、業務の重要性と必要なスピードを考慮した上で必要な業務はコストを割いてでも社内に移管をしていくのが望ましいと考えられます。
【アンケート結果】アウトソーシングの導入状況・メリット・デメリットなど|企業のご担当者様(アデコ)
一口にIT業務と言っても様々な業務が存在します。 ここでは実際にどんな業務を委託することが可能か例として7つの業務を紹介していきます。企業の業態によりこれら7つの業務の重要度や必要なスピード感は変わるため、自社に適した業務を委託していく必要があります。
サーバー管理: サーバーの設置、運用、保守、モニタリングなど。
ネットワーク管理: ネットワークの設計、構築、運用、セキュリティ対策。
アプリケーション開発: オンラインシステムやモバイルアプリの設計・開発。
ウェブサイト開発: コーポレートサイトやECサイトの構築。
カスタマイズ開発: 企業のニーズに合わせたシステムのカスタマイズ。
データベース管理: データベースの設計、運用、最適化。
ビッグデータ分析: 大規模データの収集・分析とそれに基づくレポーティング。
データバックアップ: データのバックアップとリカバリ。
セキュリティ対策: サイバーセキュリティの強化、脅威の検出と対応。
リスク管理: ITリスクの評価と管理。
テクニカルサポート: エンドユーザー向けの技術サポートやヘルプデスク。
顧客対応: 24時間体制のカスタマーサポート業務。
クラウド導入支援: クラウドサービスの選定、導入、運用。
クラウドインフラ管理: クラウド環境の設定、スケーリング、コスト最適化。
ITプロジェクト管理: 開発プロジェクトの計画、進行管理、リソース管理。
アウトソーシングプロジェクト管理: 委託した業務の進行状況のモニタリングと調整。
自社リソースや人材では遂行できない業務や、コア業務の遂行を妨げている業務を明確にする
外部ベンダーに委託する業務内容や範囲を決定し、運用開始時期を定める
中長期的なITアウトソーシング導入後の流れや最終的なゴールを設計する
自社要件に合ったアウトソーシング先を選定する
見積もり依頼や比較検討を行い、コストだけでなく品質や実績、セキュリティ体制なども考慮する
依頼先のアウトソーシング先にあった社内の受け入れ体制を構築する
現場に現場課題をヒアリングし、それらを改善した業務フローを設計する
設計した業務フローをアウトソーシング先に落とし込み標準化する
全てをいきなり委託するのではなく、部分的に委託し最終的に委託予定の全ての業務を委託する
テスト運用に問題がなければ、本格的に業務を開始してもらう
要望や疑問点があればアウトソーシング先から受け入れる体制を作る
外注先の対応品質に問題がないかチェックする
外注先と一緒に会社の課題に取り組み、パートナーとして仕事を進める
以上のプロセスを経て、ITアウトソーシングを導入することで、コスト削減、専門性の向上、ガバナンスの強化などのメリットが期待できます。ただし、全てから目を切ると重大な問題が発生する可能性もあるため、責任の所在を明確にした上で、自社内でアウトソーシング先の確認 体制を用意するべきである。
ITアウトソーシングは、自社のIT業務を外部の専門企業に委託することで、コスト削減や業務効率化を図る方法です。
適切に活用すれば、昨今話題のDX化やIT人材の不足の手助けとなる有効な手段となります。
そのため、自社で適切に活用する体制を作り、十分に効果を発揮できるよう取り組んでいきましょう。